注文住宅を検討する際、平屋か二階建てかで迷う方を見かけます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、迷うのも無理はありません。この記事では、平屋と二階建てを居住性・安全性・コストの3点で比較しました。選ぶ際のポイントも解説するので、参考にしてください。
建てるなら平屋か二階建てか?それぞれのメリット・デメリットを押さえておこう
家づくりでは現在のライフスタイルだけでなく、将来の暮らしも想像することが大切です。住みやすい家・長く住める家を手に入れるために、平屋と二階建てのメリット・デメリットを理解しておく必要があります。
平屋のメリット
平屋の主なメリットをまとめました。それぞれ解説していきます。
生活動線がコンパクトでシンプルにまとまる
平屋はワンフロアなので上下階の行き来がありません。生活動線はコンパクトかつシンプル。移動にムダがなく、家事の効率もアップします。ワンフロアで生活の全てが完結するので、高齢になってからも不便を感じることは少ないでしょう。
家族とコミュニケーションが取りやすい
部屋と部屋の距離が近いため、どこにいても家族の気配を感じられます。家事をしながらでも子どもに目が行き届くので安心です。リビングを中心とした間取りにすれば自然と家族が顔を合わせるため、コミュニケーションが取りやすい家になります。
屋根の高さが自由に設定できる
二階部分がないため、天井の高さを自由に設定できます。一般的な天井の高さは2.5mほどですが、これよりも高くして開放感たっぷりの空間にすることも可能です。また、屋根の形状によっては屋根裏の空間が広がり、スキップフロアやロフトなどの遊び心ある間取りも楽しめます。
地震や台風などの揺れに強い
高さがない分、構造がどっしりと安定します。地震や台風で建物が揺れたとき、上階に行くほど揺れを大きく感じるものですが、平屋にはあまり影響がありません。耐震性や耐風性は、二階建てよりも平屋のほうが優れているといえるでしょう。
外壁メンテナンス費が安く抑えられることも
二階建てに比べて外壁の面積が小さいため、メンテナンス費用が少なく済みます。足場を組み立てるとしても小規模で済むので、その費用も抑えられます。また、ワンフロアだと家の中を見渡せるため、照明の切り忘れなどに気づきやすくムダな電気代がかかりません。天井の高さにもよりますが、冷暖房の効率が良いというメリットもあります。
平屋のデメリット
次に、平屋のデメリットについて解説していきます。
日当たりや風通しが悪くなることも
二階建て以上の住宅に囲まれると、平屋の日当たりや風通しに影響します。その場合、採光・通風を確保するために隣家との距離をとったり中庭を設けたりなどの対策が必要です。なお、太陽光パネルを検討している場合には特に注意したいところ。日当たりが確保できず期待したほどの発電が得られない、パネルの反射が原因で近隣トラブル発生などの可能性が考えられるためです。
水害リスクが高い
豪雨による河川の氾濫などで浸水の被害に遭う可能性は、二階建てよりも高くなります。二階建てなら上階に避難できますが、平屋では逃げ場所がありません。土地選びではハザードマップを確認し、洪水浸水想定区域に指定されている地域を避けるようにしてください。
プライバシー確保や防犯対策が必要
留守を狙った空き巣だけではなく、在宅中でも住人の目を盗んで窓から侵入するケースがあります。二階部分なら夏の夜に窓を開けたまま寝るといったこともできますが、平屋ではそうはいきません。一階部分には簡単に侵入できてしまうため、しっかりとした防犯対策が必要です。また外部から家の中が見えやすいので、窓の位置や大きさも丁寧に検討する必要があります。
ある程度、広い土地が必要
平屋を建てる場合、希望する延床面積以上の土地が必要です。たとえば、建ぺい率50%の土地に延床面積50坪の家を建てるとします。二階建てなら一階25坪・二階25坪などと分けられるので、必要な土地の広さは50坪です。一方、平屋の場合は一階50坪になるため、土地が100坪なければ建てられません。土地購入費がかかるうえ、固定資産税も土地の広さに応じて高くなります。
基礎部分、屋根が多いため建築費用が高くなりやすい
同じ延べ床面積の二階建てと比較すると、平屋のほうが建築費用や建物の固定資産税が高くなる傾向があります。建築費用のうち、多くの割合を占める基礎部分や屋根の面積が広くなるためです。ただし、間取りの工夫や住宅設備の選び方次第で費用を抑えることも可能です。予算内に収まるよう、ハウスメーカーに相談するようにしてください。
二階建てのメリット
二階建ての主なメリットには、以下のような点が挙げられます。
プライベートな空間とパブリックな空間を分けやすい
一階部分はリビングや水回りなど家族全員で使うパブリックな空間、二階はそれぞれのプライベートな空間といったように、メリハリのある間取りが可能です。なお、一階と二階それぞれにトイレを配置しておくと、より住みやすい家になるでしょう。
二世帯で暮らしやすい
トイレだけでなくキッチンや浴室などを一階・二階それぞれに設置すれば、二世帯が暮らせる住宅になります。平屋に二階部分を増築するとなると建て替えと同じくらいの費用がかかりますが、リフォームならそこまでの費用はかかりません。ただし、配管が通っていなければ大掛かりな工事になり、費用もそれなりにかかります。将来は二世帯住宅として使いたいことをハウスメーカーに伝えるようにしてください。
プライバシーが守られる
リビングは一階に配置することが多いものですが、近年は二階にリビングがある家も増えています。人通りの多い場所では、プライバシーを確保するために窓を少なくしたり小さくしたりするなどの工夫が必要ですが、リビングが二階にあれば視線を気にする必要がありません。隣家と対面しないように窓の方角に気をつければ、大きなテラス窓も設置できます。日当たりや風通しが確保でき、ゆったりと寛げる空間になるでしょう。
土地が狭くても居住スペースを確保しやすい
二階建ては平屋と違って縦の空間を利用できるため、広い土地を必要としません。狭い土地でも十分な居住スペースが確保できます。限られた敷地面積を有効に活用して、理想の間取りを手に入れることが可能です。
建築費用が抑えられる
同じ延床面積の平屋と比較した場合、二階建ては基礎部分や屋根が少ないため、建築費用が抑えられます。土地も平屋ほどの広さを必要とせず、土地代や固定資産税などが少なく済むのがメリットです。
二階建てのデメリット
次に、二階建てのデメリットを見ていきましょう。
高齢になって階段の上り下りが苦になることも
若いころは気にならなくても、高齢になると階段の上り下りが苦になりがちです。洗濯物を干すためにベランダに行くのも一苦労。子どもが巣立ってからは、二階の子ども部屋がムダなスペースになってしまうケースも珍しくありません。二階建てを希望する場合は、高齢になってからのことを考える必要があるでしょう。
家族のコミュニケーションが取りづらい
フロアが分かれることで、家族のコミュニケーションが取りづらくなる可能性があります。学校から帰ってきた子どもが無言で自室に向かったため、帰宅に気づかなかったというのはありがちな話。それぞれのプライバシーは確保できますが、目が届きにくく、家族での会話も少なくなりがちです。
二階部分は地震の揺れの影響を受けやすい
安定感のある平屋に比べて、二階建ては地震の揺れを感じやすくなります。特に木造建築の場合、二階で過ごしていると揺れを大きく感じるかもしれません。台風など強風による揺れも同様です。地盤の弱い土地では倒壊のおそれもあるので、耐震性についてきちんと確認する必要があります。
外壁メンテナンスの費用が高くなりやすい
平屋に比べて外壁の面積が広くなるため、メンテナンス費用がかかります。二階部分の外壁や屋根のメンテナンスには足場を組む必要があるので、その費用も用意しなくてはなりません。たとえば30坪程度の家の外壁を全面施工する場合、足場だけでも15万円前後かかります。メンテナンスのタイミングは同じでも、平屋よりもコストがかかることは意識しておきましょう。
光熱費がかかりやすい
吹き抜けやリビング階段は開放感のある空間にできることで人気ですが、冷暖房の効率は下がります。暖かい空気は上昇してしまうため、暖房をつけても一階が寒くなりがちです。反対に、夏は二階が暑くなりやすく、各居室でエアコンを使うと電気代が大変なことに!フロアが分かれていることから照明のつけっぱなしにも気づきにくく、ムダに電気を消費する可能性があります。
平屋か二階建てか?決める際のポイントを紹介
それぞれのメリット・デメリットを押さえたものの、どちらを選ぶべきかまだ悩んでいるという方に向けて、平屋か二階建てかを決める際のポイントをまとめました。参考にしてみてください。
予算が限られているなら「二階建て」がおすすめ
同じ延床面積の家を建てるなら、平屋よりも二階建てのほうが土地代を含む建築費用を抑えられます。限りある予算でゆとりある生活空間を実現するのなら、二階建てがおすすめです。
バリアフリーで老後安心して暮らしたいなら「平屋」がおすすめ
平屋の最大の魅力は、バリアフリーの間取りが実現できることです。家の中の段差がなく、老後はもちろん子育て世代も安心安全に暮らせます。ライフステージに関係なく長く住み続けたいと考えるなら、平屋が最適です。
平屋か二階建てか迷ったら…LIFEWORKがライフスタイルに合った多彩なプランをご提案!
平屋にも二階建てにも魅力があり、なかなか決められないという方も多いでしょう。LIFEWORKでは、家を建てる方の思いに寄り添いながらライフスタイルに合ったプランを提案できます。まずはあなたと、あなたの大切な人が叶えたい暮らしについてじっくりお話を聞かせてください。
ライター情報
広報 片岡さやな
広報 片岡さやな